まずいのはパン? 被災者に聞いた食べにくいものランキング




大人気の缶パン 現場の声は・・

阪神・淡路大震災の際に救援物資としてパン2000個が被災地に届けられたのですが、その中のパンの一部が食べる前に傷んでしまい、食べられないという事が起きました。

その事件をきっかけに、栃木県のベーカリー「パン・アキモト」が長期保存が可能でおいしいパンを作ることは出来ないかと、 試行錯誤して生まれたのがパンの缶詰です。

そして今では、非常食といったらパンの缶詰が思い浮かぶほどになり、味もイチゴ・オレンジ・チョコ・バニラ・ミルクなど バラエティに富んでいます。

そんな大人気のパンなのですが、被災者の目から見てみると意外な事がわかります。

↓こちらは新潟中越地震の際にとられた、震災から3日の間に食べにくかったもの、というアンケート結果なのですが、

食べにくいと感じたもの 主な理由
パン 39.7 飲みにくくてパサつく
おにぎり 17.5 冷たくて固い
3 ビスケット・クラッカー 6.3 飲み込みにくい
4 ラーメン 4.8 スープがつめたい
5 乾パン 4.8 口の中がベタつく
6 ごはん 3.2 味がしない
7 アルファ化米 3.2 味が好みではない
8 汁もの 3.2 こぼしてしまった
9 その他 17.5

このようにパンが圧倒的に食べづらいと言われています。

理由には「飲み込みにくい」事が上げられており決してパンが「まずい」と言うわけではなさそうで、これが「まずいもの」ランキングでしたら決して1位になるような事はないでしょう。おそらく問題は、震災直後で 水を節約しなければいけない状況だということです。

パンにかぎらず、ビスケットなど乾燥した食べ物は飲み物が十分にあって始めて、しっかりと美味しさを味わえます。いくら美味しいビスケットでも、飲み物なしの状態で食べ続ければ美味しさは苦痛に変わってしまいます。

震災直後は大変水が貴重になりますので、ガバガバと飲むわけにもいきません。水なしで、または水を節約しながら食べるパンは、水分の多いご飯などに比べてより不快感を伴うはずです。その事が、このアンケート結果につながったのだと思います。

 



 

パンの缶詰を買い込むなら水を多めに!

普段お米よりパン派の方は、非常食もパンの缶詰などを中心に揃えてしまいがちです。

自分が美味しいと思えるものが非常時にも食べられることは安心にもつながり、とても大事なことですが、非常食の主食をパンを中心にそろえる場合には水を必要とされている備蓄量よりも多く買い込むことを心がけましょう。そうしないと、せっかくの美味しいパンも台無しになってしまいます。

今度は逆の震災から3日の間で食べてよかったもののランキングを紹介したいと思います。

食べてよかったもの
ない 14.1
2 汁もの 13.5
3 おにぎり 12.9
4 缶詰 12.9
5 ラーメン 6.5
6 パン 4.1
7 めんるい(うどん・そば) 3.5
8 雑炊 2.4
9 くだもの 2.4
10 その他 27.7

「ない」が1位になってしまうのは、被災直後は食欲が沸かなかったという人が大勢いることからです。食事が満足に喉を通らない状況であったり、ごはんをゆっくりと味わう余裕もない状態で、災害の中心地にいる方達がいかに困難な状況かがわかります。

食欲が沸かないことは仕方がありませんが、しっかりと食べて体調を崩さないことがとても重要になってきます。そこで非常食を備蓄する上で大事になるのが、食欲不振になるような困難な状況でも食べたいと思うようなものを準備することです。

昨今は本当にたくさんの非常食が出回っていますので、きっと自分好みのものもきっと見つかるはずです。食べ物があればなんでも良いとは思わず、余裕があれば自分好みの食材を選んでストックして行きましょう。

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