パン・アキモトの 缶詰 誕生秘話をご紹介




現在では数多くの会社か発売されているパンの缶詰ですが、パンの缶詰は世界に先駆け日本で誕生しました。ここではその誕生秘話をご紹介させていただきます。

パンの缶詰を世界初の技術によって生み出したのは、栃木県那須塩原市のパン・アキモトというパン屋さんを営む秋元義彦さん(63)です。そんな彼がパンの缶詰を開発したキッカケは、阪神大震災の被災者の声からだったといいます。

1995年、神戸を襲った阪神淡路大震災、秋元さんは支援のため約2000個のパンを現地に送ったのですが、普通のパンだと4.5日しかもたないため半分以上にカビが生え廃棄されてしまいます。

この事件により、秋元さんは現地の人から「保存性があってしっとりしたパンはないの?」という問い合わせを受けます。普通のパンは長持ちせず、当時はカンパンが主流だったため被災者の多くが固い食事に我慢を強いられていました。

そんな現状を知った秋元さんは「我々がチャレンジしてみよう!」と決意し、ここからパンの缶詰の研究がスタートします。

当初はパンを真空パックにしようとしたのですが、真空状態ではパンが潰れてしまい、袋から開封しても元には戻らず、やわらかくてふわふわにはなりませんでした。

そこで次にトライしたのが、缶詰で、生地を缶にいれてそのまま焼き上げる方法を考えついたのですが、ここでまた問題が起きます。

焼きあがったパンを缶から取り出してみると、生地を焼いた時に発生した水蒸気で缶の内側が結露しており、その水分を吸い込んでパンがふやけてしまったのです。

「これではダメだ、結露をなんとかしないと」「しかしどうしたらいいんだろう?」と悩みに悩んだ秋元さんはひらめきます。「そうだ!この特徴を活かせばうまくいく!」秋元さんが出した答えは障子などに使われる和紙でした。日本家屋に使われている障子が水分を吸い部屋の湿度を一定にする働きがあることを思い出し、その力をパンの缶詰に応用することを考えついたのです。

そして実際に和紙と同じ特性をもった紙を缶の内側に巻くと、焼いた時に出る水蒸気を紙が吸い見事に結露を防ぐ事が出来ました。こうして3年経ってもふっくらしっとり美味しいパンの缶詰が実現されたということです。

余談ですが、パンの缶詰の成功はパンに巻く紙の発見によるもので、それを見つけたときパン・アキモトのみなさんは「カミ様だ~」と社内で大笑いしたそうです(^^)

その後は、2011年の東日本大震災をはじめ様々な被災地に届けられ、パンの缶詰は大好評となり、今では数多くの会社から様々な味のものが発売され、非常食の主食の定番になるほど広く知られるものとなりました。

まだ備蓄していないという方は、被災者の声から生まれたふっくらおいしいパンをぜひ備蓄リストにいれてみてください。

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