非常時や登山などでもゴハン(お米)を食べたいと思ったら、乾燥したアルファ米に水やお湯をかけて膨らまして食べる「アルファ米ご飯」というのが一般的で、それが今現在、一番多く選ばれている非常時の「主食」となっています。
ですが最近になって、非常時でのゴハン(お米)の食べ方に新しい形が増えました。
それは、おにぎりです。
おにぎりの非常食は日本人に馴染みのある形であることから、発売から徐々に話題を呼び、さらには調理方法がよりシンプルに改善されてゆき、非常時でも不便のない造りに仕上がったことで、今では人気の非常食のひとつとして定着しました。
そんな、おにぎりタイプの非常食。今では数え切れないほどのメーカーから発売されているアルファ米ほどではありませんが、水を加えて調理するタイプや、そのまま開封して食べるタイプなど、おにぎりの非常食もいくつかのメーカーから発売されていますので、それをひとつひとつご紹介していきたいと思います。
おにぎり好きの方、非常時にもおにぎりを食べたい!という方、ぜひご参考にしてみてください。
尾西の携帯おにぎり
出典:amazon
尾西食品から発売されているアルファ米から調理するおにぎりです。
アルファ米というのは、見た目は乾燥したお米と変わらないのですが、ただの乾燥したお米よりも消化しやすい状態に加工されており、お湯や水を加えるだけで、ふっくらとした、そして消化の良いご飯を作ることができるというもので、非常食の定番アイテムとなっております。
尾西食品は、数あるアルファ米の中で一番人気の「尾西のアルファ米シリーズ」を販売する会社なのですが、「おにぎりタイプのアルファ米」にもいち早く手を出し、「おにぎりのアルファ米」の方でもダントツに一番人気となっております。
おにぎり仕様の配合
通常の「尾西のアルファ米シリーズ」と、この「おにぎりのアルファ米」。違いは形だけはありません。
「通常のアルファ米」は100%国産のうるち米(もち米ではない普段わたし達が食べているお米の総称)が使われていますが、「おにぎりのアルファ米」にはうるち米に低アミロース米がブレンドされています。
低アミロース米とは、もち米ほどではありませんが、粘りの強いお米です。
この低アミロース米を使うことで、手で握ったおにぎりの再現率を高めています。
アルファ米をおにぎりの形にするというアイデアだけでなく、食感にもこだわった造りが、おにぎり大国の日本人の心をわしづかみにして、ヒット商品となりました。
調理方法
包装パッケージを使ったおにぎりの調理法は、バージョンアップを経て、今ではとても簡単になりました。
はじめての方は、こちらの作り方動画をぜひ一度ご覧になってみてください。
どうでしょうか? これだけシンプルなら、非常時やアウトドアでの即戦力になるのではないでしょうか?
水を入れ、振り、1時間待ち(お湯なら15分)パッケージの外側から形を整えるだけで、おにぎりが完成します。
素手でにぎる必要がないので、衛生的でもあります。
注意したいのは、おにぎり1つを作るのに約60ccの水が必要だということです。
通常のアルファ米を非常時の主食として備蓄する場合もそうですが、このアルファ米おにぎりを非常食に選ぶ場合は、飲水や生活用水にプラスして、多めの水を備蓄することをこころがけましょう。
普通のおにぎりと変わらないカロリー!
味は、鮭、わかめ、五目おこわ、昆布の4種類。
それぞれ、カロリーが、鮭 152kcal、わかめ 151kcal、五目おこわ 168kcal、昆布 150kcalとなっており、普通のおにぎり1個と同じくらいのエネルギーを摂取できますので、非常時の主食としての役割は果たしてくれるでしょう。
携帯が楽々!
はじめからおにぎりが完成している商品に比べて、調理に多少の手間はありますが、開封して水を入れる前の状態はとても軽量で厚みがなくかさばらないので、避難時に非常持ち出し袋に多めに入れて持ち運ぶのもそれほど苦になりません。
食べた感想
今回は鮭味を2つ用意して、「熱湯」と「水」の2通りで調理して食べたのですが、熱湯で作ったものが、当然でしょうが、圧倒的に美味しかったです。
塩気もちょうどよく、具(鮭)は小さいながらも、まんべんなく散らばっていてちゃんと味がわかります。さらに暖かいというだけでかなり味を補強してくれます。
しかし、大事なのは水で戻した時の味でしょう。
非常時などは特に、熱湯が手に入るとは限りません。
悪い状態を想定して味見をするのが大事でしょう。
そこで、あらためて水で戻した方を食べてみると、まず気になったのは。
両方時間どおり(熱湯15分、水60分)で調理したのですが、水の場合だと芯が残った硬めのお米の粒を若干多く感じます。
しかし、決して不味くはありません。
非常時などに水で戻すだけでこれだけのクオリティのものが食べられるなら大満足という味です。
どれくらいのクオリティかといいますと、調理して作った冷凍チャーハンが冷めたレベルです。
炊いたお米にはもちろん敵いませんが、非常食なら十分納得できる味です。
硬めの粒も少しはあるのですが、これで味が低下しているわけでもなく、歯ごたえがアクセントになり悪くありません。
そして、通常のアルファ米も食べたことのある私が気になった点があるのですが。
通常のものは食べたときにパサパサしたタイ米を思い出したのですが、「おにぎりのアルファ米」には粘り気のある低アミロース米が混ざっているので、タイ米のようなパサパサ感が少なくなっているように感じました。
それでも、通常のおにぎりのようなモチモチ感には及ばず、若干パサパサ感もありますが、「おにぎりの非常食」として大満足できる味と食感でした。
ただ、大満足となったのは、私がおにぎり好きなのもあるかもしれません。
普通のご飯でもおにぎりの形で食べると、3割増しで美味しく感じる体質なので、私のようなおにぎり好きの方には特におすすめしたいです。
おにぎりに対して特にこだわりはないという方は、「通常のアルファ米」と「おにぎりのアルファ米」で味のクオリティの違いはないですので、食べやすい方を選べば良いと思います。
「尾西の携帯おにぎり」は大人気商品のため、口コミがたくさんあります。
その中から一部を抜粋して↓に載せていますので、ぜひ他の方の意見も参考にしてみてください。
- 賞味期限:5年
NO.1
何が良いって、まず美味しい!
災害時の予行演習として家族全員で食べましたが、子供たちも喜んで食べており、あまった1個は奪い合いになりました^^;
水入れて作るスタイルが珍しかったのでしょう。
通常パックのものと迷いましたが、おにぎりだと災害時にも楽しみながらご飯がたべられそうです。
NO.2
五目おこわを試食しましたが、さすが非常食の尾西!美味しいです!
さらに、使う水の量は少量。未開封時はかさばらない。食べ終えるまで中身に触れることがなく衛生的。非常食として高い評価ができます。
調理にハサミやカッターなどは当然必要なく、食べるのにおにぎりじゃない普通のアルファ米でもスプーンが必要でしたが、それすら必要ないのは画期的!これらを実現させた尾西に敬意を払いたいです。
NO.3
炊きたてのおにぎりには及びませんが、とっても美味しく、バッグに収納できるサイズ感で非常食、登山食として優秀。
水を入れ、軽く形を整えるだけで、ちゃんとおにぎりが出来上がるのは感動的ですらあります。
非常食は味がいまいちだな思うものをたくさん食べてきましたが、これは本当に美味しかったです。
ハマショウ 携帯おにぎり
楽天取扱なし
出典:amazon
こちらもアルファ米から水またはお湯を入れて調理するおにぎりです。
アルファ米から作るおにぎりは尾西食品が圧倒的に人気があり、こちらはだいぶ影に隠れてしまっています。
私も基本的には尾西の方をおすすめしますが、こちらのおにぎりにもおすすめポイントはあります。
それは、味のバリエーションです。
尾西と同じく、鮭、わかめ、五目おこわ、に加え、白ごはんがあることです。
おにぎりは白ごはんが好きだ!という方や、缶詰などのおかずには白ごはんが良い、という方などはこちらも検討する価値があると思います。
ただ、注意したいのは、白ごはんは塩むすびではないので、塩っ気がありません。
塩むすびとして食べたい場合は、塩も事前に用意しましょう。
作り方は「尾西のおにぎり」とそっくりで、ほとんど変わりないのですが、最後の形を整える部分で、尾西のパッケージよりもほんの少し丁寧に整える必要がありそうです。
詳しくは、こちらも作り方動画をご覧になってみてください。
本当にそっくりですよね? 商品も調理方法も。
おそらくどちらかが真似たのでしょうが、はっきりとはわからないのでなんとも言えません^^;
ただ、作り方も、味も同じような中で、白ごはんは尾西に対して差別化するものだったんじゃないかなと思われます。
白ごはんが好きな方!白ごはんもストックしたい方!ご検討してみてください。
- 賞味期限:5年
そのまま食べられるおにぎり醤油味
アマゾン取扱なし
出典:楽天市場
こちらのおにぎりはなんと、水もお湯も火も必要とせず、開封するだけですぐに食べられる長期保存おにぎりです。
しかも、その賞味期限は、アルファ米と変わらない製造日より5年という驚きの長さ!
醤油で味付けされたおにぎりが、なんの手間もなく開封するだけで食べることができます。
なぜ?このような長期保存が可能かというと、4層アルミパウチ袋におにぎりを密閉後、123度で40分の焼成殺菌処理をすることで、無菌状態で5年間の保存ができるとのこと。そして、これは世界初の技術で特許申請中とのこと。
カロリーもしっかりと普通のおにぎりと変わらない約172kcalあるので、非常食の主食としても問題なし。
ということなんですが、、
ここまでの話だと、これこそ理想のおにぎりの非常食だ!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
私もそう思いました。
水もお湯も、待ち時間も必要ない、これでいいじゃん!と、
でも、こちらの商品、いまひとつ人気がないんですよね。
その訳は、、食べてみるとわかりました^^;
食べた感想
まずは、4層アルミパウチ袋に密閉されたおにぎりの開封ですが、手で簡単に開けられました。
さらにラップのようなものでおにぎりが包まれているのですが、これも簡単に取れました。
実際にサランラップに包まれているおにぎりなどよりも簡単にはがせます。
そして、肝心の味なんですが、、
かじってみると、ネトっとした食感です。
米粒がまるで立ってないんです。
潰れたご飯で作ったおにぎりという感じです。
硬めのご飯が好きなわたしにとっては苦手な食感です。
ただ、やわらかいご飯が好きな方には受け入れられるかもしれません。
そして本当にここから味なんですが、醤油味ということになっていますが、わずかな醤油風味です。
ですので、「尾西のおにぎりシリーズ」の鮭やわかめのように、おにぎりだけで美味しく食べられるぐらいの強い味がなく、単品で食べるのはキツかったです。
缶詰でも用意しておけば、まだ美味しくいただけたかもしれませんが、この薄味のおにぎりだけで食べるのは余計に不味く感じてしまい失敗でした。
食べ終えての感想は、完成したおにぎりの形のまま5年保存するというのは、こうなってしまうんだなと、、まだまだ改良の余地があるなと思いました。
ですが、開封して水もお湯も使わず、そして待たずに直ぐに食べられるというのは、魅力的ではあります。
このネトっとした食感のやわらかめのお米が好きな方なら、十分に検討する価値はあると思います。
ただ、醤油味というのは期待しないほうがいいです。なにかおかずも一緒に用意して召し上がることをおすすめします。
いかがでしたでしょうか?
ここまで紹介したものが、今現在購入可能な「長期保存できるおにぎり」の3メーカーです。
長期保存できる「おにぎり」となりますと、長期保存できる「通常のご飯」に比べて種類も圧倒的に少なく、尾西食品のひとり勝ちといった様相ですが、おにぎり好きの方のご購入の参考になれば幸いです。
「おにぎりの非常食」という分野自体がまだ発展途上という感じですが、新しい非常時の主食として注目されはじめた「おにぎり」をぜひ先取りしてみてください。